さて、元のお題に戻り、
「鉄筋コンクリート造ビル・マンションは、丈夫な躯体を生かし、
寿命の短い建物設備の延命更新を繰り返し、時代に合わせた機能を提供しながら、
長く使うもの」
という価値観を
1どうして日本は取りれれられなかったのか?
2本来は、誰が日本に紹介すべきだったのか?
どう考えられましたでしょうか?
▲▽▲ 2本来は、誰が日本に紹介すべきだったのか?
先に 2本来は、誰が日本に紹介すべきだったのか?を少し考えて見ると、
●建築士?
建築士は、建築物の設計及び工事監理を行う職業の資格だが、維持管理のプロではない。
もっと言えば、作品を引き渡してしまえば、建築士の責任外、と言えば無責任に聞こえるが、建築士が手出しできる範疇では無い以上、そこに興味を持てという方が酷だ。
●建設会社?
これも同様だが、請負工事で建設した建物を引き渡してしまえば、瑕疵担保や防水保証対応はあるとはいえ、その建物がその後どのように維持管理されるかは、彼らの仕事の外になる。
作った以上メンテナンスも責任持てと言いたいが、それで分譲マンションが12年毎に大掛かりな大規模修繕をした挙句、40年50年でやはり老朽化だの修繕資金が無いだの言っている日本では、その責任は求める方が危険すぎる。
●税理士?国税庁?金融機関?
国税庁は固定資産税の償却期間を決める関係上、もっと欧米のビルを研究しておけ、と言いたいのは山々だが、研究の結果償却期間が長くなれば、それだけ減価償却の旨味がなくなるのが、良いか悪いかの判断は簡単では無い。
●不動産業者
日本の不動産業者は、「不動産の相談は不動産業者へ」と土地も建物も不動産のことは何でも知っている凄い人風を装っているが、宅地建物取引業者は、その名の通り賃貸、売買の媒介ルールを知っている
(ここでは自己を抜いている)だけ。英語では Agency。建物のことは知らない。そもそも不動産業者が千三つ屋と呼ばれた理由の一つが千に3つしか本当の事を言わない。と実しやかに言われた程、???な業界を何でも信じては、
●建物管理会社(プロパティマネージャ)
ビルオーナーで管理会社も経営されている方がここを追求するのはあくまでも管理会社の経営出会って、残念ながら建物管理会社(プロパティマネージャ)は所有者とは違うから、ここも期待できない。
つまり、所有ビルを40年で売却するか100年持ち続けるかは所有者の問題であり、プロパティマネジメントは存在するビルの現在の賃貸と建物管理に、ベストを尽すのみなのだ。
だからプロパティマネジメントの本場欧米で、アセットマネジメントとプロパティマネジメントが別々になっている。
●デベロッパー
デベロッパーは開発と所有の両方を行うから、所有ノウハウを一番持っている。が、大資本の彼らは一般中小ビルに対しては、うちに土地を売って再開発させてくれ、の立場だから、長期所有の協力は期待できない。
●国土交通省役人?大学教授?
望ましくは、でしたが難しいことも理解できる。というのはこうした立場の人間は、とかく観察者の立場だ。
そして日本でも、皆さんがビル・マンション所有を吹聴して回らないように、欧州の所有者も、個人資産の話は、そう簡単に話す話題ではない。自分の資産は自分で守る意識の強いからよりガードが硬い。だから難しい。
とすると他に誰がいるのか?
▲▽▲ 日本で必要としている人
欧米のビル・マンションは長く持つもの、という価値観を、本来は、誰が日本に紹介すべきだったのか、といえば、
●ビル・マンション所有者、ご自身
です。他に誰がいるでしょう。
他は皆、古いビル→建替→新しいビル の方が仕事になる。お金になる。
リスクと負債を背負うのは唯一所有者。リスクと負債以外の
「古いビル・マンションを長く(収益のある状態で)持つ」オプションに直接利益があるのは、
所有者ご自身です。
▲▽▲ 1のどうして日本は取り入れられなかったのか?
そこで1のどうして日本は取り入れられなかったのか? といえば、
まあ、建替えができた高度経済成長期が長く続いたから、そこまで考える前にまず建てろ、だったことはしかがないでしょう。
▲▽▲ 問題はこれからどうしたいか。
過去は過去として、問題は現在。
建替えは、先行き不透明な時代にはリスクが高すぎる。
売却・再開発は負け。自分で取得した土地ならまだしも相続した土地であれば「自分は美田を受け取り子孫には美田を残さない。」負けだ。
それらと長く収益を維持して持ち続ける安定とどちらが良いか。
建替えや売却は、一言いえばすっ飛んで来て手取り足取り手伝ってくれる人はいるが、
所有ビル・マンションを長く(収益のある状態で)持たせる事に関しては、残念ながらそういう人がいない。
所有者の意思と努力が必要だ。
だから能動的に情報を求める。周りの関係者にもそれを要求する。
難しい、と言われれば、それはその人はno ideal程度に捉えて、次に当たる。
をしなければ、全く受け身でビル・マンションの経営を続けられるほど甘くない。ことは欧米を見てもわかる。
日本では築50年以上中小ビル・マンションの維持は、まだ実績の少ない未知のフロンティだから、
フロンティスピリッツを持てば、逆に創意工夫ができて面白いのではないでしょうか。
でも実績ある欧米の失敗しないコツの取り入れは、強くお勧めします。