排水管 時に建物経験豊富な管工事業者に見てもらおう

さて、
時々漏水を起こすようになった排水管をどうしようという話の続き。
3Dプリンタで給排水管工事が安く柔軟になる時代がくる・・まで待てれば良いが、その前に漏水回数が増えれば、悠長に待っていられない。

が、こうした場合にしばしば聞くのが、

「都度修繕はしている!!」

「付き合いある水道業者に相談しても、うーん、というばかりで。。。」

▲▽▲大学病院に行って診てもらったら▲▽▲

こうした言葉を聞くたびに、私が言いたいのは一言。
もっと建物経験のある水道工事業者に相談してみれば?

これは、例えば、
親しい友人が、最近時々みぞおちが痛くて寝込むと言うので、
心配して病院は?と聞くと、
「毎回近所の医者行って薬もらってるから大丈夫。」
「近所の医者に聞いても、よくわからないって言うんだよね。。」

と、答えられるようなもの。

「大学病院に行って、ちゃんと診てもらった方が良いよ」

と言いたくなるのではないだろうか。

そして、もし評判の高い医者を知っていたら、教えてあげるかもしれない。

建物の問題も全く同じ。
問題が何度も起これば、根本解決ができる専門業者探すべきです。

▲▽▲簡単に見つからない▲▽▲

ただ問題は、ビル・マンションの排水管横管の更新、
特にスラブ下配管のような難度の高い場合、誰に相談をすべきか、
これが難しいことだとは、熟知している。

簡単に見つからりゃ、そりゃ探している。

▲▽▲管工事の業者は3タイプ▲▽▲

そこで建物の給排水管工事の見方だが、

建物の給排水管工事をする業者は、次の3つに分類できる。

1 漏水補修、内装工事付随配管工事の専門業者
2 デベロッパー/分譲マンション大規模修繕の下請け等で建物配管工事の経験豊富な専門業者
3 全て対応する大規模修繕業者や建築系業者

相談したいのは、もちろん2だ。

しかし、それが難しい。。

▲▽▲何しろ20年前は需要がなかった▲▽▲

私たちが理解をしたいのは、
日本のビル・マンションの多くは70年代以降に建っており、
それ以前築で長く建っているビル・マンションの数は本当に少ない。

20年前は、今築50年のビルでさえ築30年

そろそろ漏水事故が出てくるか出てこないか、
まだ問題のあるビル・マンションは本当にわずかだった。

つまり対応している専門業者も本当にわずかだった。

だからいつもお願いしている給排水管修繕の業者が、延命更新にはっきり答えてくれなかったとしても、その専門業者のせいではない。案件がなく経験を積む機会がなかったのだ。

しかも、設備工事業者は一般向けの営業をあまりしない。
だから余計にわかりにくい。

そこでビジネス機会、と新しい技能習得を頑張るかといえば、
どうでしょう。今は人手不足、かつ平均年齢の高い後継者不足業界です。。

ともかく、「うーん」という業者や「古い建物にお金をかけるのは無駄」という業者は、
結局自分は難しい工事はやりたくない、と言っているのと同じ。
やる気がない相手には相談できない。

よくある相談は、引き続きお願いするとして、分散修繕対象のこうした重大工事は、別に専門業者を探すしかないですね。。。

排水管 3Dプリンタ管の時代がやってくる やあやあやあ

前回、漏水のある排水管は交換しなければいけないけれど、難しい問題が多い・・話をしましたが、もし良い提案がなかなか見つからなければ、無理に工事をする必要もありません。というのは、そのうち全く違う解決ができるようになるかもしれないからです。

 

▲▽▲時代は3Dプリンタ建築▲▽▲

3Dプリンタは、ご存知でしょう。この3Dプリンタが、今どこまで進んでいるか、ご存知でしょうか?

海外ソースでは普通に聞くのに、
日本ではあまり効かないのが色々な意味で大丈夫か?と不安に思うが、現在世界では、3Dプリンタ建築「も」、ホットな話題。

2015年に中国で、3Dプリンタを使用した6階建集合住宅が建築、

2016年5月ドバイに自称「世界で最初の3Dプリンタによるオフィスビル」が建築、
(電話、水道、電気、空調設備機備えている。)

ドバイでは、2030年までに25%の新築建物を3Dプリンタで製作が目標だそうだ。
https://www.weforum.org/agenda/2018/05/25-of-dubai-s-buildings-will-be-3d-printed-by-2025/

製造方法が3Dプリンタというだけなら、へーで終わりだが、注目はこの3Dプリンタビルは、伝統的な工法に比べ50%安かったこと。制作日数が短く、人手とコストがかからない。

半額!!

このオフィスは工場制作だったが、最近は現地政策もできるようになり、

このお家は24時間で建築、費用は100万円!!
家一軒が100万円って、ワンルームの半端なデザイナーズリフォームよりよほど安いではないですか!いや3Dプリント内装というだけで、テナント入りそう。

▲▽▲管と継手も3Dプリンタ▲▽▲

これは新築の話で、既存建物は関係ない、てなことはもちろんない。
給水管排水管の3Dプリンター製造技術も進んできている。
3Dプリンター製造は、
Additive Manufacturing(付加製造)
ねんどの塑像のように、材料を付加しながら管を製造する。だから形大きさ自由自在。さら継手も自由に自在に作れる。従来の給排水管が、決まった直径のパイプを切り決まった角度の継手で繋いでいたのとは、全く違う。

3Dプリンタを運んできて、取れるルートに合わせて管の形を作り配管するだとか、
劣化した継手の部分だけ切り取って、そこに合わせる菅と継手をその場で作り設置するとか。
同じ形式がもうない部品をその場で作るだとか、控えめに考えても、色々思いつく。

▲▽▲日本も菅は3Dプリンタに▲▽▲

ドバイのあるUAE以外で他に3Dプリンタ建築が進んでいる国は、アメリカ、オランダ、中国、ロシア、イタリア。最新情報では、シンガポールの会社が、3Dプリンタ建築用ロボット(アーム)を開発。製造業が強いフランスもそのうち何か出して来るだろう。設備系最新テックは、韓国も熱心だ。

今のITハイテク熱心国は、オール世界でテクノロジー開発しているので、進歩が本当に早い。因みに上で紹介したドバイの3Dプリンタオフィスは、米国の設計会社が設計し、上海の3Dプリンタ工場で作り、ドバイに建設。

特にドバイは、建築だけでなく、政策としてIT活用で街のサービス従事者ゼロを目指しており、無人空港、無人タクシー、建物管理修繕ももちろんだ。
(そもそも40度50度の砂漠で、人間が外壁修繕工事などしてられない。。)

日本としては、3Dプリンタ建築は、安全性耐震性を十分に確かめてから慎重に導入して欲しいが、設備、特に管理関係は、話が別。
古い老朽化給排水菅の対策に3Dプリンタ管と継手が使えれば、技術者の人手不足問題は解決、工費人足費半分で、今まで難しいと言われていたことができる。

 

▲▽▲簡単に諦めない▲▽▲

世界的にはこの手の技術はものすごく盛んで進歩も早いから、今難しくとも諦めずにやり過ごせば、数年もすれば驚くほど安く簡単に解決できる日が来る確率は低くないです。とにかく簡単に諦めずに、維持しましょう。

排水管の漏水事故が起こるようになったらどうすれば良いのか

さて、今回は築古ビル・マンションのトラブルNo1 排水管です。

▲▽▲漏水事故が2年連続するようになった・・▲▽▲

例えばの事例です。

築45年の20世帯マンション。過去に入居者の問題で1回漏水事故があったが、 8年前に天井から水がポタポタ垂れて漏水が発覚した際、 排水管の接合部がサビで劣化しており危ないと指摘をされた。が、 でもスラブ貫通配管だから対応が難しいとも言われてそのまま。 ところが昨年、今年と同様の漏水事故が別々の部屋で発生。 今年はさすがに損害保険会社の鑑定人もまたですか?という冷たい目。 このまま漏水事故の回数が増えたらどうすれば良いのか?

さて。 どうすべきか。

▲▽▲現実に何ができるのか▲▽▲

困りますね。

理想は、入居者全員に一度立ち退いてもらって、リノベーションで全配管やり直し・・で問題一気解決ですが、現実には豪腕すぎ。

気にしない・・・も気は楽だが、最初からそう決め込むのは、良心が痛む。

中間案は、
テナントが退去して空室になったタイミングでできることを行うのが、妥当でしょう。

しかし気になるのは、過去の漏水時にきた水道業者には、難しいと言われていること。本当に難しいのでしょうか?

 

▲▽▲何ができるか考えてあることが大切▲▽▲

実施の決断は急ぐ必要はないが・・・(その理由は、次回ご紹介したい)

修繕業者がいう「難しい」は気にしなくて良い。それは、自分はやりたくない、程度の意味だからだ。

すでに漏水があるできることは

  • 漏水を起こす継手を交換する
  • 古い管と継手を交換する
  • 新たに別の配管を作る

のいずれかしかない。しかし使用中ビル・マンションでは、メリットデメリット以前に、それぞれに難しい理由がたくさんつく。

 

▲▽▲考えてくれる専門業者と出会うために

具体的に現地の状況やテナントを考えみて、難しい理由をすべて比較検討した上で、どの方法が「まだ、ましか」を判断できるのは、その後施工する専門業者しかいない。いくらこちらこうしてくれと言っても、専門業者がそれはできない、と言えばやってもらえない。

従って考えてくれる専門業者探しが重要になる訳だが、本当に考えてくれる専門業者と出会うためには、所有者側も事前によく考えておかなければいけないことが1つある。

 

それは、

「予算」

だ。

この場合1部屋あたりいくら出せるか、一度にすべて工事するのでなければ、すべての予算を最初から準備しておく必要はないが、必要なタイミングで現実として出せる予算でなければ、意味がない。

大丈夫だと思っても、築古は他に課題が多いから、電気配線の交換その他も考慮する必要がある。

見栄を張って予算を奮発して始めたものの、途中で資金が足りず、排水管が交換できず漏水を何度も起こす部屋が混在しては、お金をかけたにも関わらず、面倒は永久になくならない。

 

だから現実的な予算計画は、大切です。

そしてこの予算を考えるのが、分散修繕計画です。

電気容量不足なら・・・フランスのフラットで家電が突然止まった話

前回電気容量の話を書いたところで、以前にフランスで経験した「驚く」電気容量不足解決策を思い出してしまいました。これをご紹介したいと思います。。

▲▽▲洗濯機と食器洗い機が止まった▲▽▲

それはフランス人の友人宅に滞在していた時だった。

朝ゆっくりと起きて朝食を食べてようやく動き出した11時ごろ、洗濯機と食器洗い機が、両方止まった。 部屋のブレーカーは落ちていない。友人もわからない。 しばらくあたふたあちこち確認をしたがわからない。

とうとう友人が管理会社に問い合わせた。ら、

そのフラットでは、平日朝の11時から13時 は建物の清掃担当者が掃除や修理をするから、その間部屋の電気の一部を止めるのだとか。 なんだ、とあっさり言う友人。 建物の電気容量が足りず、過去にトラブルがあったのかもしれないが、 テナントの権利が強い日本では考えにくいその大胆?な発想!、 それを説明していなかった不動産屋!、 そこでアッサリ納得して怒らない友人の態度!、 当時は私はただただ????????で、日本ではあり得ない話、と思っていた。

 

▲▽▲テナントの損得は▲▽▲

が、今なら、最近の日本なら、あり得る。
もちろん日本では、

  • 入居前に不動産屋が説明をしていること、
  • それでも構わないと思える賃料の安さなり何かのメリットがあること

要はテナントが「騙された!損させられた!」と思わず、逆に「得した」と思えれば良いのです。

ちなみに上の例のフランス人の友人は、今まで平日昼間は仕事で部屋にいなかったから気がつかなかったそう。もともと賃料にお得感があったのかもしれない。。

 

▲▽▲バリューダウン▲▽▲

さて、このお話をご紹介した理由は2つあります。
まず1つは、これが、バリューダウンの事例ということ。

従来のリフォーム業者やら盛んに盛り上げたバリューアップ策(改装や何かをすれば賃料が上がる)が簡単にできると期待する人は、今やいないと思いますが、
安易に賃料が上がらな時代の築古ビル・マンションにとって、バリューダウンこそサバイバルの秘訣です。
つまり、多少賃料を下げてでも、「費用対効果が確かでない投資をしない」という引き算の発想です。

もちろん、
自ビル・自マンションの強み、選ばれるポイントを潰さないこと、が大前提であるのはいうまでもありませんが。

 

▽▲分散修繕で活用できるバリューダウン▲▽▲

もう1つの理由は、これが、分散修繕の事例にもなること。

建物全体の電気容量が足りない。しかし予算その他の事情から直ぐに電気幹線交換の工事はできない。場合、

建物としていずれ交換するとして、交換するまでの間の「繋ぎ」策として、バリューダウン
は、現実的な方策です。

目先だけ見るとバリューダウンは、建物ランクが下がったように見えるが、長期的な分散修繕のための一時的な「繋ぎ」を入れることで、建物は長く生きまた価値を上げることができる。

そうして、とにかく建物を長く持ち続けることが大切です。

電気幹線・設備の交換2

▲▽▲電気幹線の工事は面倒▲▽▲

設備はともかく電気幹線の交換が必要と言われても、電気の線は全て天井裏、壁の後ろ、床下、スラブ貫通の場合もある。

面倒くさい話になりそうだと直感して、せいぜい次の内装工事の機会にでも、と思うのはごく普通の感覚です。。

実際それでも構わない。(遅すぎなければ。)構わない時間の余裕を持つためにも、早めの分散修繕計画をお勧めしている。

とはいえ、電気業者に相談をすると、断線調査をして、断線箇所がないから大丈夫という可能性が高い。

ここに、技術者と所有者の考え方の違いがある。

技術者が、問題がなければ交換する必要がない、と考えるのは、それが所有者の利益と考えてのこと。

しかし所有者側としては、 
1 電気配線の断線調査を頻繁に行わない
2 問題が出る時期が、他の工事と重なると大変
3 テナント専有部等は工事ができるタイミングが限られている。

だから、早めに手をつけておきたいのだ。

▲▽▲電気幹線更新にあたり検討すべき事▲▽▲

  1. 建物全体の今後の十分な電気容量確保及び配線の設計と図面作成
  2. どこが更新済みでどこが古いかの継続的な管理
  3. 内装工事の際に、毎回確実に必要な事をしてもら得るよう指示または手配

それぞれを、誰が責任を持って行うか、これをまず決めること。

1 は、当然建物の電気設計施工に慣れた電気工事業者に依頼すべきです。
内装工事の下請けしか経験がない電気工事屋では、3相を知らない場合があるから要注意。

2と3 は、管理会社がいれば管理会社に任せられるが、管理会社の担当者でできることなら、オーナーにもできる。と言うことで、自分でもできます。

テナント専有部の配線は、テナント入居時にはできないため、空きビルでない限り分散して行う。
従って、自主管理等で自分でマネジメントをする場合は、

・管理用の図面を作成してもらう、
・各室内装工事時に必要な指示書・仕様書を作成してもらう。
(別の業者が行う場合も想定して)

を建物幹線交換の業者にお願いをしておくと、その後が楽になる。

▲▽▲所有者の最重要な仕事はマネジメント▲▽▲
ビル・マンションの所有者は、管理を自分で行うこともできるが、管理が仕事ではなく、管理をマネジメントすることが本来一番重要な役割です。
そこで、建物が古くなると欠かせない電気幹線・設備の更新、を無理なく成功させるために必要なマネジメントをご紹介しました。

分散修繕相談で、個別の相談にも応じています。こちらもご利用ください。

築40年を過ぎたビル・マンションのリクス

築40年を過ぎたビル・マンションは、以下のリスクが高まります。

電気; 漏電による停電や漏電火災のリスク

給排水; 排水管の漏水、水の水質の劣化、ほかにも屋上・外壁からの雨漏りのリスク

生命の安全; 外壁落下、看板落下、天井落下、火災時に消防設備や避難設備が機能しない等あらゆる事故リスク

自分だけが使用している自宅なら、多少の我慢はできますけれどね。賃料をいただいているテナントにあまり迷惑をかけることは、好ましくないでしょう。
そこで、それぞれの建物設備分野別に、もう少し詳しく見ていきます。

  • 電気
  • 給排水
  • エレベータ
  • その他事故対策

電気幹線・設備

さて、前置きに無しにすっきりと、築30年以上中小ビル・マンションが分散修繕を考える際の
検討対象No1 として電気幹線・設備のお話です。

▲▽▲電気のトラブルは怖い・・・・

高圧受電の場合は、電気主任技術者が付いて保安点検を受けているから大丈夫とお考えでしょうか?
低圧受電でも、たまに電気設備の定期調査がくるから大丈夫とお考えでしょうか?
高圧受電の場合、保守を受けるのはキュービクル内の変圧器まで、電気設備の定期調査で点検されるのは、分電盤等。

もちろんこうした電気設備は築30年でもトラブルリスクが高いからですが、
築50年となると、もっと全てが劣化する。

壁の後ろや天井裏の電気幹線;動力幹線及び電灯幹線、端末の照明器具、スイッチ、コンセント。

全てに漏電火災・停電リスクが高まります。

電気は予告無し(実際にはあるが普通には気がつけない)に一回のトラブルの影響が大きいため、現在生活に欠かせない「当たり前」インフラNo1の電気供給関係の全てについて、建物が40年−50年すぎると、ビル・マンション所有者は、「もれなく完全な」な更新を考えなければいけません。

▲▽▲まず電気配線の交換が当たり前
ところで余談だが、少し前にイギリス人の友人が、旦那さんの父親が亡くなり相続した家に住むことにしたと引っ越したが、引っ越しの前に電気の配線をまず全て交換したそう。

家といっても豪邸ではなく、普通のテラスドハウス(2階建がたくさん繋がっている)おそらく1920年代築だろうか。イギリス人だから、住みながらDIYで自分たちの家に作り変えていくやる気満点で、今まで住んでいた所有フラットは賃貸してDIY原資もバッチリ確保。で、電気だけは無ければ困るので、引っ越し前に配線交換の工事をしたとのこと。

この手の話はイギリス人からはしばしば耳にする。。

で今回改めてなるほど・・・と思ったのが、
相続の単位の建物の電気等のインフラ設備をリニューアルは、40年-50年前後毎。
ちょうどインフラ劣化時期で、理に適っている。

そしてもう一つ改めて感心をしたのが、
普通の人でも「まず電気配線を交換」と発想できる常識がある。ことだ。

▲▽▲建物を長く持つ文化の本領
日本では、欧州の石造建築文化vs日本の木造建築文化、として文字通り石と木の建築技術の問題と考えられがちだが、実際はそうではない。違いは、「古い建物に何をすれば良いか」が普通に「分かっている」か「分かっていない」かの違いでしかない。

欧州でも石造建築は、城か貴族の開発した街ぐらい。一般人は木造やレンガ、20世紀以降の鉄筋コンクリートの質も??も少なくなく、傾いた建物も珍しくない。

建物躯体が何「造」であろうと、建て替えという発想がないから、「建物設備を延命更新し、時代に合わせて使い勝手を向上させて使い続ける」感覚が、一般市民レベルで身に付いていて、「古い建物に何をすれば良いか」感覚的に「分かっている。」

建物躯体が何「造」であろうと、電気幹線や設備、給排水管・設備、(加えて欧州なら給湯とセントラルヒーティング)屋上防水等建物設備の寿命性能は同じ。各時代で要求される水準も同じだ。
ここに手を入れなければ建物は使えない。

▲▽▲古い建物をお金をかけ過ぎずに持てなければ
日本人も最近は古い建物のリフォーム、リノベーションが言われようになったが、まだまだ甘い。(まだまだ建設業界のカモすぎる)
日本人がふんわり考えるリフォーム程度は、先の例のイギリス人は何年も何年もかけて自分でDIYする。資金確保はあくまでも材料代。外に依頼するのは、自分ではできない建物設備工事がほとんど。

「古い建物に何をすれば良いか」が分かっているとは、言い換えれば、
最低限どこにお金をかければ、建物を活かせるか、が分かっている。
古い建物をお金をかけ過ぎずに持てるから、古い建物が負債にならず、それどころか
自分で手を入れて自分で自分の空間を作る自己実現の対象になる。

日本人も、
「最低限どこにお金をかければ、建物を活かせるか」をもっと考えた方が良いでしょう。

と、脱線が長引いたのでもう少し具体的なお話は次回へ続きます。。。。

分散修繕の計画表が無料ダウンロードできます

ビルオでは、分散修繕用エクセルシートを無料でダウンロードできます。こちら

分散修繕の取り組みを考えている中小ビル・マンション所有者の方は、お気軽にダウンロードしてご利用ください。

ご質問等ございましたら、そちらもお気軽にご質問ください。

ヨーロッパ の歪んでいる建物たち

閑話休題。私物の歪んだ建物コレクション。

ヨーロッパのドイツやフランス他の国で、各国の友人を訪ねて大都市でも観光地でもない普通の街を歩くようになった当初、驚いたのが、歪んだ建物が平然と建っていることだった。固定観念が打ち破られましたよ。地震がないからこそとはいえ、それでも建替えの発想がない、ことをつくづく感じたものだった。


どうしたのか。建てている最中に境界が違っていることに気がついたのか?


全ての建物が支えあっていて、一棟壊したら他も倒れること間違いなしだから、運命共同体で建替えできないという。

一体どう建てたらこうなるのか。大工は定規を持っていないかったのか。

フランスのレンヌ。見た目は歪んでいても、床はリフォームで埋めて平ら。

スイスのバーゼル。ヨーロッパの建物は石造で頑丈だから、という人はまずこれを見て欲しい。

肥ってる建物。。。なぜ・・・??

 

分散修繕計画は従来の修繕計画とは違います

分散修繕の計画をお勧めするにあたり、一つ強調をしておきたいのが、分散修繕計画と従来の修繕計画は違うということです。

だから、昔作った大規模修繕計画があるから大丈夫、だとか分散修繕のために、大規模修繕計画を作ってもらおう、というのは残念ながら違います。

何が違うかといえば、
従来の修繕計画は、現在の建物設備一覧に対して、修繕または更新が必要とされる時期にその費用目安を見積もっています。
そのため、金額が

  • 全て更新の積算になっている
  • ソリューションの違いが反映されていない

それで一見良さそうですが、実は実用的なことは何もわからないのですね。例えば、

1 延命更新のためのソリューションは、1つではなく沢山あり、予算もピンキリだが、どの程度かわからない。

2 40年前の建物設備が老朽化してリニューアルが必要として、そこで単純に同じ物を交換すれば良いかというと、そうとは限らない。当時と現在とでは、技術性能が違う。建物の使われ方も違うえば、そこで要求される機能性能も違う。そもそも必要なくなることもあれば、別のソリューションに組み込まれるかもしれない。そうした現実が、全く反映されない。

3 当時は想定になかった新しい設備機能が必要になっていても、それは含まれていない。

4 テナント専有部は、テナント退去のタイミングでしか工事ができない等の制限が、反映されない。

つまり、時代による変化や、予算の都合、テナントの都合が、全く反映されておらず、実用的ではないのです。

だいたい修繕計画の通りに修繕しています。という人は、いますでしょうか?

分散修繕計画は、逆に実用のための計画です。

資金計画で大まかな資金枠を確保し、その中で何が必要か、何が出来るのか、テナント都合等も考慮して、考えます。

分散修繕計画と従来の修繕計画は違いは、

従来修繕計画は、現在の建物設備ありきの、修繕のご提案です。

分散修繕計画は、自分の資金都合ありきの、自分のための延命更新工事計画なのです。だから、分散修繕計画は、自分で作成します。