さて、今回は、外壁です。
外壁をあまり話題にしたくない理由は、
外壁は設備ではなく建築業界の領域ですが、
営業宣伝があまりに先行していて、話の仕方が難しいからです。
ちなみに江本が当初、ビルは100年持つからちゃんと手入れをしようと言い始めた
最初の頃は、単なる外壁リフォーム会社かと思われることが多かった。。
「ビル100年を言う=外壁リフォーム」と思われたようで。
▲▽▲外壁は建物躯体ではない
しかし、外壁、は建物躯体ではありません。
外壁は、大切な建物躯体を守る役割(注1)を持つ塗装もしくはタイル等の仕上げです。
建物の、躯体は丈夫ですが、外壁の方は他の建物設備同様に、
40年もするとさすがに劣化する。
▲▽▲外壁に手入れが必要な理由
だから手を入れる必要があるが、
その主目的は、次の2つ。
・躯体の保護機能を回復する事
・外壁・外部設置物落下事故リスクをなくす事
(看板・造作物を含む)
建物の見た目ももちろん大切ですが、
塗装屋や外壁リフォーム屋やリノベ屋の営業がやたら盛り立てるような
見た目を綺麗にする事では、決してない。
▲▽▲ヨーロッパの建物の見た目が素敵な理由は、意匠
ちなみにヨーロッパの古い建物の外観は綺麗ですが、
あれは機能美です。意匠です。
(意匠は、物品のより美しい外観、使ってより使い心地のよい外観を探求するものです。 )
童話に出てくるおとぎ話の街の建物は、
木のはりで建築技術が低かったから、はりを支える斜めのつっかい棒がたくさんあります。
(石造建築は、貴族の建てる建物だけです。)
地中海の真っ白な家は、暑さ対策です。他の色では夏、熱を吸収して家が暑くなるのです。
意匠は、先進国の要件とされ、
日本の伝統的なもの・建築の意匠デザインの美しさは世界に知られていましたが、
21世紀の日本は、意匠デザイン力(そのマインド)をどうして失くしたのか、
は、世界でも疑問に思われています。
▲▽▲外壁は語るから、仕上げとしての「見た目」は大切
と、またまた脱線しましたが、
建物の見た目も大切です。
人間も年をとると見た目にその人の生き方が現れるように、
「建物の佇まい」は、所有者の建物の持ち方をあからさまに語ってくれてしまいます。
・建物の手入れもできないネグレクトか(精神的な問題を表しますね。。)
・適切な業者に相談できず過少工事が多い弱虫か
・言われるままに過剰工事するカモか
はたまた、
良い建築士/施工会社と相談して良い仕事をしてもらうことができる所有者か。
をいわずもながで語るのだから、仕上げとしての「見た目」も大切です。
ただし、あくまでも意匠として。目的ではない。
ということで、次回も外壁話の続きです。。
▲▽▲補足:鉄筋コンクリートの劣化とは
鉄筋コンクリートが劣化する、とはどういう事か。
鉄筋コンクリートのコンクリートは、高アルカリ性で、
中の鉄筋の錆を防ぎ、長く強度を保ちます。
ところが、コンクリート表面が、紫外線で劣化する。
寒暖の差でコンクリートが微妙な伸び縮みを繰り返しているうちに、
表面に亀裂が入る。
亀裂が大きくなり、コンクリート内部に空気中の二酸化炭素(CO2)が入るようになると、
コンクリート内部が炭酸化反応して中性化する。
中性化したコンクリートの中の鉄筋まで雨が染み込むようになると、
鉄筋コンクリート内部の鉄筋が、錆で膨張し・・・、後はご想像の通り
鉄筋コンクリートが崩壊。
ちなみに中国等の他国で時々聞くビルの倒壊は、設計が悪く建物強度が足りないため。
日本の建築基準法ではあり得ない。
あれば、それは相当の違法・手抜き・ごまかし建築だから、
本来あるべき鉄筋コンクリート寿命とは別の話。
つまり、巷にはコンクリート寿命60年説が出回っていますが、
(前は40年でしたが、最近築40年超建物が増えて、今は60年らしい。
20年後は80年と言い出す人が増えるのか??)
外壁保護をしっかり行っていれば、鉄筋コンクリートがたったの
60年やそこらで寿命になったりは、
決してありません。
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