ビルは丈夫な躯体を生かして設備更新をしながら長く使うもの

ビルオの江本です。

1日未明の台風の影響か、1日に
横浜のビルで、外壁の装飾パネルが落下し、
通行人に直撃、通行人が亡くなる痛ましい事故がありました。
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20181001004959.html
プロ所有のAクラスビルですが、業務上過失致死もあり得るとのこと。
見ると、そう古くはありませんが、
必要以上の装飾は、維持のコストと事故のリスクになるという
最悪の例となりました。

実は、私の家の近くでも、
台風による外壁落下事故がありました。
こちらは被害者はいませんが、築50年クラス雑居ビルで、
ずいぶん前に建物正面エントランス周り1F窓下まで、
大理石の大きなパネルを貼っていたのが、一枚落下です。
落下痕を見ると、元のリシン塗装の上にちゃんと下地処理をしていないようです。

▲▽▲バリューアップ改装の顛末▲▽▲

10年ほど前に、バリューアップ改装と称して、
築古ビルの正面ファザードに何かをつけて見た目を変える手法が流行りましたが、
よほど考えられたものでなければ、
好印象は長く続かない。
このくらいやれば、素晴らしいと思いますが。。。
https://www.archdaily.com/896930/how-to-make-a-facade-with-recycled-materials-16-notable-examples

ペイができるのは、
建物が注目を浴びること=賃料効果
の商業ビルのみです。ただ、
経済合理性が全てでもないので、余裕があれば日本のビルもどんどんやれば良いとは思います。

が、やるならば、同時に
維持のコストと事故のリスクを背負うことに対する自覚も持つ必要がある。

建築士が手を抜くのは、1時の気分か能力不足か、
しかしその後のリスクとコストも、結局所有者が負います。

それで何かあれば被害者ぶって腹が立つと、というのは、

かぼちゃの馬車事件で紹介をした、
・所有不動産の、先の収入および支出について現実的な感覚がない。 ・それより、目先の数字や聞こえの良い言葉に影響されやすい。 ・権威が大丈夫というから、という理由で自分で考えずに決めてしまう
の典型で、やはり所有者落ち度がある。

そこをある程度考えておくのが、ビルオーナーの仕事、です。
(そこが、プロパティマネージャ等とは違う)

ま、バリューアップ改装ブームに惑わされなかった、
ビルオーナーさんなら、なるべくシンプルにして無駄なことにお金を使わないのは、
当たり前では、思われるでしょう。
それが正しいです。

賃貸効果を出す方法は、お金をかけるバリューアップではありませんから、
やれることは他にたくさんありますからね。

▲▽▲ ビルは丈夫な躯体を生かして設備更新をしながら長く使うもの

と前置きが長くなりましたが、
築古ビル・マンションに必要な電気・給排水の延命更新の話を
しばらくダラダラして実例ご紹介を増やす前に、
改めて基本的な「ビル・マンション観」を確認したいと思います。

というのも、

「鉄筋コンクリート造ビル・マンションは、丈夫な躯体を生かし、
寿命の短い建物設備の延命更新を繰り返し、時代に合わせた機能を提供しながら、
長く使うもの」

が世界の常識です。
ここで世界とは、欧米だけではなく、カナダ・オーストラリアも含む程度でもなく、
中国をはじめとするアジア各国、中東、アフリカ、中南米も全て含んだ世界です。

に対して、日本だけが、
ビル・マンションを築40年築60年で寿命と言います。

日本は明治時代に西洋建築技術を輸入し、戦後高度経済成長期あたりまでは協調していたはずですがね。。
どうして違うのでしょうか。

そこで質問です。

技術とは異なる「ビル・マンション観」について、

1どうして日本は取りれれられなかったのでしょうか?

2本来は、誰が日本に紹介すべきだったでしょうか?

当事者として、真剣に考えてみてください。

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